ライブ・ア・ライブの場合 ラスボスは、オルステッドもしくはオディオ。王国武道大会で優勝した剣士オルステッドは、アリシア姫と結婚する。しかし結婚当夜、アリシア姫は魔王の手先にさらわれる。オルステッドは勇者として、親友の魔術師ストレイボウとともに姫救出の旅に出る。道中、かつて魔王を倒した勇者ハッシュ、僧侶ウラヌスを仲間に引き入れ、魔王城に突入。４人がかりで魔王を倒すが、アリシア姫は見つからなかった。しかも勇者ハッシュによれば、今倒した魔王は偽者だという。直後、魔王城は崩壊しはじめ、傷付いた勇者ハッシュは逃げられず、親友ストレイボウも逃げ遅れて閉じ込められる。結局、城に戻ったのはオルステッドと僧侶ウラヌスの２人だけであった。 城に戻った夜、オルステッドが眠っていると、まどろみのなかで、魔王城で死んだはずの親友ストレイボウの姿を見る。彼を追って王座の間に辿り着くと、そこには倒したはずの魔王がいた。オルステッドが魔王を倒すと、幻術が解け、魔王の死体は国王の死体に変わる。その現場を見つけられたオルステッドは国王殺害の罪を着せられたうえ、魔王城から生きて帰ってきたために魔王本人ではないかという疑いまでかけられる。僧侶ウラヌスの弁明もむなしく、オルステッドは城中の兵士と町中の人間から「魔王」と呼ばれて追われ、ウラヌスは逮捕されて「魔王の仲間」として拷問をうけることになった。 王国兵に追われながら逃げたオルステッドの行く先は、勇者ハッシュの住んでいた山小屋。オルステッドはハッシュの墓前で、「信じてくれる者が一人でもいるかぎり、その人間を信じるのだ」という彼の言葉を思い出す。そして。アリシア姫が結婚当夜、自分を心から信じてくれていたことを思い出す。もう一度信じる――そのために、オルステッドはまず僧侶ウラヌスを救うため、城へ舞い戻った。 しかし、王国の人間たちの対応は変わらず、彼はやはり「魔王」として投獄された。隣の牢にいた僧侶ウラヌスは、オルステッドに諭す。「お前には、まだすべきことが、信じる者がいるではないか」と。拷問で瀕死の状態にあったウラヌスは、最後の魔法でオルステッドの牢を開け、絶命する。オルステッドは逃げ、再び魔王城へと突入する。 魔王城で最後に待ち受けていたのは、死んだはずの親友、ストレイボウだった。彼は、魔王城を崩壊させたように見せかけたのは、自分の魔法だったことを説明する。そして、自分が幼少からいつもオルステッドに負けてばかりいたこと、いつも引き立て役にされていたこと、アリシア姫すらオルステッドに取られてしまったことを叫び、戦いを挑んでくる。オルステッドは戦いに勝ち、ついにアリシア姫と再会する。しかし、アリシア姫はストレイボウの死体を見下ろした。そして「この人はいつも苦しんでいた。あなたは他人の痛みをわからない」と言い残し、自害する。 オルステッドは、自分を信じてくれた人たちの言葉を次々と思い起こす。「信じてくれる者が一人でもいるかぎり、その人間を信じるのだ」というハッシュの言葉。「お前には、まだすべきことが、信じる者がいるではないか」というウラヌスの言葉。「今は私とあなただけ。これからは父上よりも、いいえ誰よりも、あなたを……信じます」というアリシアの言葉。その言葉を伝えてくれた者たちは、すべて死んだ。オルステッドは語りはじめる。 「私には、もう何も残されてはいない。帰る所も、愛する人も、信じるものさえも。魔王など、どこにもいはしなかった。ならばこの私が魔王となり、自分勝手な人間達にその愚かさを教えてやる。私は今よりオルステッドなどではない。わが名は……魔王オディオ！」 参考： オディオとは、フランス語で「憎しみ」を意味し、 アリシアは、ギリシア語で「真実」を意味する。