銀杏並木文学賞・大賞予定 諸君 私は勉強が好きだ 教室授業が好きだ 個別指導が好きだ 自学自習が好きだ 教科書が好きだ 参考書が好きだ 過去問が好きだ ぼろぼろになった辞書が好きだ びっしり書き込んだノートが好きだ 使い古した筆記用具が好きだ 勉強の成果を発揮する試験が好きだ いつも心を震わせてその日を待っている自分が好きだ 試験開始の瞬間など本当に心踊る 公式一発で解ける問題を見たときは卒倒しそうなほど至福な気持ちになれる 張っていたヤマが当たったときは射精しそうなほど快感だ 前日に勉強した分野が出題されたときなどはアレがいきり立つ そしてその全てを解答するときは幸福の極みに達する 試験会場に行くときは恋人との待ち合わせのように胸が踊る 問題用紙を配付され名前を書き込むときは犬畜生を蹴り殺すときのように快感だ 問題文の訂正を知らされ　それが解答にさして影響しない箇所だと分かったときなど　試験官を拉致監禁して１週間拷問にかけたい衝動にかられる あと１問というところで試験終了を告げられると気が狂いそうなほど悔しい 試験が終わっても１０秒以上解き続けている奴などは絶殺しても物足りないくらい憎い 勉強のおもしろさが分からない奴は死んだほうがいい 否　死ぬべきである その前に私達が殺してあげよう 次の受験生のために 次の次の受験生のために 「射精しそうなほど快感」とか「アレがいきり立つ」とか直截な表現が見受けられますが、引いてはなりません。大江健三郎さんだって『われらの時代』（新潮文庫）で「こいつは勃起するぞ」って太字ゴシックで強調までしてました（注：本当です）。ここを乗り越えたところにこそ、ブンガクの新境地が開けるのです。